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レベル6)アクションフィギュアに挑戦しよう

レベル6)アクションフィギュアに挑戦しよう

CGWORLD記事_執筆:ますく

ステップバイステップで学ぶ!マルチカラー3Dプリンター完全攻略ガイド

レベル6)アクションフィギュアに挑戦しよう

《実践》アクションフィギュア制作に挑戦しよう

このステップのねらい
目標1 可動パーツの設計と、モジュール設計を理解する
目標2 FDMの特性を取り入れた設計を行う

ワークフロー

リファレンス

アクションフィギュアの設計について知見を得るために、可動域に定評がありとても人気がある3Dプリンター用のアクションフィギュアDummy 13/Mini 13をプリントし、リバースエンジニアリングを行いました。

このベース素体はsoozafone氏が開発し、CC BY 4.0ライセンスで提供されています。CCライセンスに従うことで誰でも自由に使用し、改変し商用利用もすることができます。以下のリンクからデータをダウンロードすることができます。 https://www.printables.com/@soozafone

2。モジュールパーツを準備する

Dummy 13やMini 13の関節パーツ関節パーツと外装パーツの関係性を研究し、Mini 13をベースに自分の用途に合わせて関節パーツを再設計します。

この際、各箇所の長さやクリアランスをあとから調整できるように、ブーリアンやベベルモディファイアを使って非破壊的にプロシージャルなモデリングを行うと便利です。

実際に使用する関節パーツと対になるように、ブーリアンで抜くための抜型も用意しましょう。抜型は、パーツを挿入する際に、パーツが詰まらないために、挿入方向に対して最大断面形状で作成する必要があります。

2。基礎フレームの準備

Blender内でフィギュアを組み立て、素体を作成しました。

この時にパーツの角度は正確に5度刻みなどで動かし、キーフレームアニメーションとして移動前と移動後を記録して置く必要があります。

3。関節フレームに合わせてデザインから3Dモデルを起こす

組み上げた素体の上に、前回作成したキーホルダーのイラストを参考にキャラクターをモデリングします。

元のイラストのバランスに合わせて関節パーツのバランスを調整しながら、その上からローポリゴンでキャラクターをモデリングしていきます。

最終的に滑らかな曲面にしたいため、クリースエッジを使いながらサブディビジョンサーフェスで仕上げていく前提でローポリゴンを構築します。

Mini13を印刷した実物模型を手元において、イメージを膨らませながら、オリジナルの関節構造へと昇華していきます。現実世界と電脳世界を往来しながら行うモデリングは、通常のモデリングよりも具体的なイメージが掴みやすいです。

水平、垂直面を意識して、各パーツをFDMの特性を意識したデザインに落とし込む

Mini 13を見ていると、外装パーツが全て水平、垂直方向に整列した構造になっている事がわかります。これは積層式の3Dプリンターと非常に相性が良い造形です。

今回はMini 13よりも有機的なキャラクターを作るため、全てのパーツが水平垂直方向に平らな面で構成するわけには行きませんが、必ずパーツの一部に平らな面を設けるという制約を設けました。

FDMは、水平方向に積み上げるため、垂直方向の造形がきれいに出るのが特徴です。この特性を最大限に活かすために、今回のアクションフィギュアでは、必ず水平な面を設けるルールを設けました。こういった、特定のルールに則ったコンセプトのデザインを、コンストレイントデザインと呼びます。完全に自由な造形も楽しいですが、特定の制限下で最大限の表現を探ることも非常に楽しいデザイン体験です。

分割(パーツ分割、マルチマテリアル分割)

関節パーツや凹凸ダボを

色を変更する場所は、スライサー側で色を指定する際に設定が楽になるように、別パーツとして切り離し、再びゼロ距離で設置しておくと便利です。

また、このような作り方をしておくことで、マルチカラー機以外でも出力することができるようになる利点もあります。

ダボ処理(手作業)

ダボは、組み合う凹凸のパーツのことで、分割したパーツに凸の出っ張りと凹の溝を作り接着剤を使わずに組み立てられるようにする工程です。

ダボの付け方は2種類あります。ポリゴンモデリングで手作業で追加する方法と、ブーリアン処理で、ポリゴンの流れを無視して強制的に形状の追加や削減をする方法です。

一例として、振り袖のようなシンプルなパーツでは、ブーリアンを使用せずにポリゴンモデリングでダボ処理を行ったほうが、あとからサブディビジョンをかけてスムージングを掛けやすかったりと、利点も多いです。

ダボ処理(ブーリアン)

複雑なパーツでは、ブーリアンの機能を使い、形状の足し算と引き算でダボ付けを行っていきます。

ブーリアン処理は、形状の足し算、引き算です。ブーリアン処理自体はBlenderの機能でできますが、パーツ数が多いため、アドオンで効率化していきます。今回は、Blender公式の無料アドオンであるBlenderExtensionsに選出されているシンプルなブーリアンアドオンであるBooltronを利用します。

ブーリアン処理を前提とした場合も、元のポリゴンを丁寧に作っておくことで、複雑なパーツの造形が可能になります。

ブーリアンの際の注意ですが、関節パーツをそのままブーリアンで抜くと、関節パーツが装着できなくなってしまうため、パーツを接続する時にパーツが挿入できる方向の最大経を延長した抜き型を作り、抜き型でブーリアンを行う必要があります。

最後にブーリアン処理を行います。

BootToolやBooltronといったシンプルなアドオンを使い形状を抜いていきます。

エラーが起こる場合が多々ありますが、少し位置をずらすとエラーが治ることがあります。

クリアランスの調整

締め付け強度、カシメ、クリアランス、トレランスを考慮。

出力物が大きくなるほどトレランスの誤差は小さくなるため、クリアランスはゼロ距離でも問題なくなる。

細かいパーツや造形箇所の場合、0.4mmヘッドだと0.2mm程度の誤差が生じる可能性があるため、パーツを法線方向に収縮させてクリアランスを確保した方が良い。

逆に、可動域の関節パーツや、外れてほしくない圧入パーツは、受けよりも関節を一回り大きくし、かしめることで固定できるようにする。

今回は、顔の表情や内部の細かい造形の圧入パーツは0.1mm程度のクリアランスを確保し、その他のパーツはクリアランスなし、球体関節パーツは逆に法線方向に0.2mm膨張させることでパーツの保持力を維持することにした。

このあたりの調整は、一発ではうまくいかないことが多く、3Dプリンターの機種や素材による特性によっても変わるため、何度かプロトタイピングをイテレーションする必要がある。

印刷準備(配置)

3D上でフィギュアのデータを作る時に、キーフレームアニメーションの機能を使うと非常に便利です。

フィギュアが組み上がった状態、パーツをバラバラにした状態、フィギュアを適切なスケールに拡縮した状態、スライサーに送るために平面配置した状態など、複数の状態をキーフレームアニメーションとして保存して遷移することができます。これは、3DCADではなくBlenderで3D設計を行う際の大きなメリットです。

配置をする際は、自分の持っている3Dプリンターのビルドプレートを意識した平面をイメージしながら、配置していきます。

出力ロットを分ける際は、色や素材ごとにまとめて配置し、なるべくフィラメント交換の回数を減らすことを念頭に入れます。

今回、ここまでパーツ分割を細かくした理由ですが、いくらマルチマテリアル機とはいえ、フィラメント交換時に最も時間がかかるため、フィラメント交換をするしないでは、同じサイズの造形物でも100倍以上の造形時間がかかることがあるためです。

また、扱えるフィラメントが少ないマルチカラー機でも印刷できるように、多くても2,3色にまとめました。

スライサー(レイアウト、配色)

Blenderから3MF形式で出力し、スライサーに読み込みます。Blender側である程度配列を終えているため、ここではビルドプレートを増やして、配置の微調整を行います。ビルドプレートごとに塗りつぶしツールでマテリアルを塗りつぶし、フィラメントのマッピングを終えます。

スライサー(インフィルの調整)

ヘッドパーツを出力したところ、初期値では中身が詰まりすぎていて頭部が重く、パーツの保持が不可能だったため、インフィル設定をカスタムして頭部パーツを軽量化しました。

3Dハニカム構造で構造を強化をしつつ肉抜きをする作戦でしたが、印刷がきれいにならなかったため、ハニカム形状で肉抜きすることにしました。

インフィル以外にも、壁面の層数を減らすことでも軽量化ができます。しかし、壁面がうすすぎると、中身の構造が透けて見えたり、脆くなってしまうため、何度か設定を変えて出力テストを繰り返し軽さと強度の調整をする必要があります。

印刷

後処理

3Dプリンターの出力物は非常に硬いので、素手でサポート材を剥がそうとすると怪我をすることがあります。また、入り組んだ構造物の中のサポートを除去するためには、様々な工具を使用します。

本当に怪我をするので、安全面に配慮して、素手でサポート材を剥がさず、適宜工具を使用して後処理をしていただきたいです。

おすすめの工具
スクレーパー 焼入れした高強度のもの。Crealityの付属品がかなり良質。 かなり鋭く、刃幅も広いため彫刻刀としても使用することができます。
ニッパー 焼入れした高強度のもの。Crealityの付属品がかなり良質
レンチ 締付時にパーツを傷つけないクニペックスの プライヤーレンチがおすすめ
ラジオペンチ 外れなくなったネジを外すためのネジザウルスがおすすめ
スパチュラ 入り組んだ構造物の中のサポートを剥がすために
彫刻刀 接合部や角を削り噛合を調整する際に便利です

10。組み立て

今回は、接着剤を使わずに住むように圧入し固定する設計のため、あえてパーツ同士のクリアランスを取っていないパーツが大半を占めます。そのため、人間の力ではなかなかパーツを嵌めることができないため工具を利用して圧入します。

この際に、モンキーレンチだとパーツを傷つけてしまうため、プライヤーレンチか六角レンチを使用すると良いでしょう。

顔のパーツは造形が細かいため、スムーズに圧入することができずに苦労しました。細かいパーツでは必ずクリアランスを確保するようにしましょう。

アイテムの追加

アクションフィギュアの醍醐味は、自由なポージングや、アイテムの装着です。サングラスやお面、武器をもたせることで、より魅力的になりました。

発色の良い蛍光フィラメント

蓄光や蛍光のフィラメントを組み合わせることで、暗闇での演出も強化することができます。CrealityのHyperPLAは通常照明下でも発色がよくブラックライトに反応する蛍光特性のあるものが多いため、暗闇で非常に映えるところも魅力です。

角パーツに蓄光フィラメントも試したのですが、通常照明時の発色が悪くなってしまったため、通常照明時に透け感がありつつも発色の良いCrealityのHyperPLAの白を使用しました。

マルチマテリアル印刷を活かしフルカラー版を作る

その後、フルカラー版や武器などのアイテムも作ってみました。アクションフィギュアは、アイテムを持たせたり、着飾ったりしながらポージングを楽しむのが醍醐味です。3Dプリンターがあれば、アイディアを思いついたその日のうちにパーツを作成することができます。

AMS(CFS)を利用することで最大16色のフィラメントを使い分けることができます。今回、フルカラー版は白黒黄の3色に加え、肌、赤、青、金の4色を使用しました。多くのキャラクターは、メインカラー、サブカラー、差し色の3色配色を採用していると思います。そこに普遍的に使用する白黒、そしてキャラクターの肌色を追加すると、6色がキャラクターモデルの出力に必要な必須色数になると思います。そのため、キャラクターを作りたい方はCFSを2台購入し、最大8マテリアルまで使用できる状態にすることをおすすめします。

積層式プリンターに特化した造形設計

適切なクリアランス(公差)

組み合わせるパーツ間は0.1〜0.2mm程度の隙間を設けると良いでしょう。

プリンターの精度によって調整が必要です。

サポート構造の最小化

45度以上のオーバーハングはサポートが必要になります。

モデルを分割したり、向きを変えたりしてサポートを減らす工夫をしましょう。

プリント方向の考慮

層の方向によって強度が変わります(Z方向が最も弱い)。

機能部品は使用時の力の方向を考慮して配置しましょう。

適切な壁厚と充填率

壁の厚さはノズル径の倍数にすると良いです(0.4mmノズルなら0.8mm、1.2mmなど)。

強度が必要な部分は充填率を上げましょう。

部分分割とブーリアン操作のテクニック

複雑なフィギュアを制作する場合、一体成型では難しいことがあります。そこで重要になるのが「部分分割」の考え方です。

戦略的な分割方法

大きなオーバーハングがある部分で分割する

サポート材が多く必要な部分を別方向から印刷できるように分割する

細かいディテールがある部分は別パーツとして高解像度で印刷する

ブーリアン操作の活用

合体(Union):複数の形状を一つにまとめる

差分(Difference):ある形状から別の形状を削り取る

交差(Intersection):複数の形状が重なる部分のみを残す

組み立てを考慮した設計

嵌合部分の設計(凹凸を作り、組み立て時の位置決めを容易にする)

接着面の最大化(接着強度を高めるために接着面積を確保する)

ピン&ホール構造の追加(2mm程度のピンと対応する穴で位置合わせを確実に)

静止したフィギュアの次のステップは、可動するアクションフィギュアです。関節部分の設計や摩擦の調整など、より高度なテクニックが必要になります。

可動部品の設計手法

ジョイントの種類と特徴

ボールジョイント:多方向に動く関節(肩、股関節など)

ヒンジジョイント:一方向にのみ曲がる関節(ひじ、ひざなど)

スイベルジョイント:回転のみする関節(首、手首など)

複合ジョイント:複数の動きを組み合わせた関節

直接印刷型ジョイント

一体型印刷:部品同士の隙間を適切に設定して一度に印刷

クリアランス設定:0.2〜0.3mm程度の隙間が一般的

サポート考慮:ジョイント内部にサポートが生成されないよう設計

初回動作:印刷直後は固いため、ゆっくりと動かして馴染ませる

組立型ジョイント

ピンジョイント:別パーツのピンで連結

スナップフィット:カチッとはめ込む構造

ネジ止め:小さなネジで固定(M2〜M3サイズが一般的)

磁石埋め込み:小型ネオジム磁石を埋め込み、着脱可能に

ジョイント部分の設計とトレランス

ジョイント部分の設計は、適切なトレランス(公差)設定が重要です。

トレランス計算の基本

プリンター精度:±0.1mm程度が一般的

材料収縮率:PLAは1%以下、ABSは1〜2%程度

摩擦係数:材料によって異なる(PLAは比較的高い)

ジョイントタイプ別の推奨クリアランス

ボールジョイント:ボール径の0.2〜0.3mm小さいソケット

ヒンジジョイント:ピン径+0.2〜0.3mm程度の穴径

嵌合部品:0.1〜0.2mm程度の隙間

プレスフィット:0〜0.1mm程度の干渉(圧入)

テスト印刷の重要性

テストピース作成:本番前に小さなテストピースで調整

段階的調整:0.05mm単位でクリアランスを調整

記録:成功したトレランス値を記録して再利用

実践例:腕のヒンジジョイント ここでは肘関節を例にした実践例を紹介します。

上腕パーツに直径5mmの円筒形ソケットを設計

前腕パーツに直径4.8mmのピン部を設計(0.2mmのクリアランス)

ストッパー設計:過度の曲げを防ぐ突起を追加

摩擦調整:適度な固さを保つための表面テクスチャを付加

複数の素材を活用する方法

アクションフィギュアの機能性を高めるためには、複数の素材を組み合わせることも有効です。

素材の使い分け

本体部分:PLA/PLA+(剛性と美観性)

関節部分:PETG(耐久性と適度な弾性)

柔軟部品:TPU(擬似ゴム素材として)

特殊部品:カーボンファイバー入りフィラメント(高強度)

マルチマテリアル印刷

デュアルエクストルーダー機使用

一時停止機能活用

部品ごとの素材切り替え

異素材の組み合わせ

プラスチックと金属:ネジや軸として金属部品を組み込む

プラスチックとシリコン:関節部分にシリコンゴムを使用

磁石の活用:着脱可能なパーツに小型磁石を埋め込む

実践例:TPUグリップ付きアクションフィギュア ハードな本体と柔らかいグリップ部分を組み合わせた例です。

本体:PLA+で高詳細に印刷

グリップ部分:TPUでソフトな手触りを実現

接合方法:PLAパーツに嵌合用の溝を設計し、TPUを後から組み込み

印刷設定:本体(充填率30%)、グリップ(充填率15%、速度低下)

さいごに

謝辞

Creality様には、最新の機材と資材をご提供いただき、心より感謝申し上げます。K2 Plus Comboは、私の「アクションフィギュア制作」と「3Dプリンターの魅力伝達」という目標を実現してくれました。多くのCGアーティストは3DCGデータの世界に留まっていますが、この企画を通じて3Dプリンターが創作の可能性を大きく広げることを実感しました。オリジナルグッズやフィギュアの制作が可能になり、表現の幅が飛躍的に拡大しました。

Crealityは3Dプリンターだけでなく、デジタルファブリケーション全般の機材を一般に普及させる取り組みを行っています。レーザー加工機、光造形機、3Dスキャナーなど、多様な製品を展開し、今後も業界をリードし続けるでしょう。今後、私もCrealityのビジョンとともに、自分のデジタルアートの表現領域をさらに広げていきたいと考えています。コンシューマー市場におけるデジタルファブリケーションの進化と共に、新たな創作の可能性を追求し続け、多くの人々にその魅力を伝えていきたいと思います。

3Dプリンターとの冒険を続けよう

ここまで、積層式3Dプリンターを使った様々なテクニックをご紹介してきました。簡単な押し出しの3Dタイポグラフィやキーホルダーの制作からステップアップし、フィギュア制作に挑戦することで3Dプリンターの可能性を存分に味わうことができるでしょう。また、この先には歯車や基盤を用いたロボティクスの世界、美術品の修復、食品や建築業界への利用など、様々な応用分野が待っています。

失敗を恐れず、何度もトライすることが上達の鍵です。また、オンラインコミュニティでの情報交換や、SNSでの作品共有も励みになります。

最後に、この記事が皆様の3Dプリント冒険の一助となれば幸いです。私達と一緒に創作を楽しみ、オリジナル作品の世界を広げていきましょう!

© CGWORLD +ますく@3DCG, 2025

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